所在地:三重県津市 有限会社 桃園電設
工作機械において、制御信号や電源用として一般的にVCTFがよく使用されております。VCTFは露出配線で使用されており、建物に固定されたケーブルラックに載せて使用されているのをよく見かけます。従って、私はVCTFは「ケーブル」だと思っていたのですが、カタログを見た際に「コード」という分類に入っているのに気づきました。この辺を色々と調査したことがありますので、ここに掲載しておきます。何かの参考にはなると思います。
注意!:この文章は工作機械内の配線について論じたことではありません。また、工作機械の主幹の1次電源を述べたものでもありません。工作機械から出ている2次配線が電気設備技術基準の解釈や内線規程に引っかかるかどうかを論じた場合です。
| 名称 | 300V ビニルキャブタイヤコード(丸形) |
| 準拠規格 | JIS C 3306(ビニルコード)に準拠 |
| 耐圧 | 1000V/1分 |
| 最大使用温度 | 60℃ |
| 特徴・用途 | 小型電気機器の電源供給用及び制御回路配線用として使用される。0.5sq以下はAC100V未満、通常AC300V以下で使用する。 |
内線規程(JEAC8001-2000)で調査した結果です。VCTFを機械設備等で実際に使用する項目について調べてみました。
1.第164条「低圧屋内配線の使用電線」(内線規程:3205-7)
屋内配線の使用電圧が300V以下で、198条の規定よりショウウィンドー、ショウケース内に限り、0.75sq以上のVCTFが使用できる。
2.第191条「屋内低圧用の移動電線の施設」(内線規程:3203-7)
まず、「移動電線」とは、「電気使用場所に施設する電線のうち、造営物に固定して施設しない物」と定義されています。造営物とは「土地に定着する工作物のうち屋根および柱または壁を有する工作物をいう」まあ、建物と解釈すればよいと思う。
屋内に施設する使用電圧が300V以下の移動電線として、露出で0.75sq以上のVCTFが使用できる。そしてVCTFと電気使用器具との接続には、プラグとかコネクタなどを用いることとなっています。BOX内で端子台に接続する場合は良いそうです。
3.第237条「小勢力回路の施設」(内線規程:3560)
電磁開閉器の操作回路やベルなど、電路の使用が短時間の交流回路で、最大使用電圧が60V以下であり、電流も小さい回路の場合、VCTFを露出で使用できる。
上記の結果より、VCTFを機械設備等で実際に使用してよい条件は
イ)60V以下の交流回路では小勢力回路としてVCTFが露出配線で使用できる。
ロ)建物に固定しなければ、300V以下で移動電線としてVCTFが露出配線で使用できる。
例えば工作機械に露出配線してあるVCTFについて考えてみる。工作機械で故障が発生した際に200V電源のパトライトが回るようになっている場合、工作機械が床に固定でもしてあれば使用不可で、移動可能ならVCTFが使用可能となる。1ライン上の工作機械のどれかが故障した警報をパトライトで知らせるため、ケーブルラック(固定物と見なされてしまう)にVCTFを乗せて並列接続させている場合、使用不可能となる。
よって、電気設備の技術基準に準拠すると、使用電圧が60Vを超え、300V以下の場合、VCTFが固定された機械設備や建物の一部に固定してあれば使用できないということになってしまう。移動用電線だから表面を丈夫に作ってあり、固定していても問題はないのですが、定義の問題と思います。
しかし、現実問題として普通にVCTFは固定された機械設備や建物の一部に固定(ケーブルラックにインシュロックで縛られている)して使用されている。電線メーカに聞いたところ、「厳格に法に準拠すれば、違法と言うことになるでしょうが、電線に損傷を受けるおそれがない場合、問題は発生しないでしょう。色々な工作機械メーカやリミットスイッチや各種センサーなどを製造しているFA機器メーカですらVCTFを使用しております。ただ、それらのメーカに内線規程や電気設備の技術基準に基づいた場合どうなんですか?と訪ねると、色々な理屈をつけて逃げるでしょうね。」という話をされていました。また、「電気設備技術基準の解釈は例示法令であり、強制力が伴わない為に、厳格な適用がなされていないようです。実際上、問題なければ、特に罰せられることもない為に、広く使用されていると考えられます。」とおっしゃっておりました。念のためVCTFを使用したリミットスイッチを販売しているメーカ(OM社)に質問したところ、「当社はニーズに合った商品を提供しております。お客様が法に則って施工されるのであれば、リミットスイッチに配管でもしてください。どう施工するかはお客様の勝手であって、当社には関係ございません。」という返事が返ってきました。予想通りでしたね。また、ある機械メーカに質問してみると、「何十年とVCTFは使用しておりますが、問題になったことはありません。現実と法律がマッチングしておりません。法律の方がVCTFの仕様に対して追いついていないのです。」などとおっしゃっておりました。(メーカからの回答を事例として掲載しただけです。VCTFの問題解釈を当社は当社のお客様のためにここに掲載しているだけです。無関係な方も参考にしてくださいといった感じで掲載しております。無関係の方がしつこく当社に質問攻めするのは遠慮下さい。社会人として限度をわきまえてください。)
当社の今後の方針として、VCTFを既に固定して使用しているお客に対しては「VCTFを使用します」と見積等に書いてそのまま使用することとします。上記の理屈を下手に説明するとややこしくなってしまいそうだから、仕様として明記する程度にとどめます。VCTFを固定して使用した設備がないお客などには「一般的にはVCTFが使用されています。電気設備の技術基準ではだめです。どうしますか?現実的には問題はないと思いますが」と説明するつもりです。
明確な基準がない(「制御盤や工作機械の2次側配線は電気設備基準や内線規程の適用範囲ではないので、問題ないと思いますが」と考えるのが、一般的なメーカや機械屋さんの意見です。)グレーゾーンです。実績(他社さんもメーカもほとんどVCTFをサーボや動力用モータなどに使用している。メーカ製の製品をバラしてでもVCTFを交換すべきだとメールを送りつけてくる方がいましたが・・・。)や、メーカ等での社内試験を考えるなら、VCTFはOKだと思いますが、電気屋としては気にかかる部分ではあります。