直流の低圧が750Vに決められた理由ついての考察

有限会社 桃園電設

 私が電気機器メーカに在職中、私の直属の上司が「なぜ直流の低圧は750Vなのか?」という質問を私にしたのですが、当時の私には答えることができませんでした。久々に在職中にメモしていたノートを見直す機会があり、端っこにメモしてありましたので思い出しました。

 当時、私のメモでは交流の低圧が600Vだから、これを全波整流するとその平均値は

 600*1.35=810V

「違うな、わからない」という結末でした。

 今回色々調べてみると、750Vは直流電化の電車の電圧に用いられていることを発見しました。直流電化の電車の低圧に分類できる電圧は600Vか750Vです。低圧なら、高圧と違い保守・管理が容易でまた感電の危険が少ない。昔、電車がらみの何かの都合で、直流の低圧を600Vから800V程度の間で決めたのではないだろうか?という推測のもと調査を行いました。

 半導体も無く、水銀整流器もない時代、どうやって交流から直流を作っていたのだろうというのを調べていたら、「回転変流機」で作っていたことがわかりました。

Wikipediaより引用(回転変流機)

回転変流機では回転子と巻線が交直両方で共用されており、直流側リードは各整流子セグメントに繋がれ2組のブラシで直流負荷側に繋がれる直流電動機・発電機の構造で、この巻線から3等配で引き出した交流側リードは、スリップリングを介して三相交流電源側に接続する電機子回転型同期電動機の構造で、巻線が交直共通で電流が相殺され、負荷電流による電機子反作用が交直両巻き線で相殺されて、同寸法の電動発電機方式よりも遥かに大きな電力を扱えた事により鉄道用直流発生装置に多用された。


整流子の絶縁の問題で800Vを越える電圧の回転変流機は安定的に作れなかったそうです。600V・750Vでは安定して動作していたらしいので、路面電車などに使用する電圧制限で「直流の低圧は750V以下にしよう!」と昔の誰かが決めたのであろうと推測しております。(750Vに決めたのは昭和24年。)

 おそらく、上記の理由から直流の低圧は昭和24年に750V以下という定義が決定されたのだと考えられます。(文一総合出版 解説電気設備の技術基準 第8版 48ページ 営業用の電気鉄道の電圧は 600、750、1000、1500V等であるが 路面電車で750Vまで使用を認める為とのコメントがある)
 

 電気の歴史:現在わかっている範囲では、

 昭和24年(ここから比率が変わる)までは、直流と交流の低圧区分関係は2対1の比率で規定されており、

 明治初期の低圧の区分 : 直流300V以下 交流150V以下

 明治初期から明治30年の間のどこかでの変更 : 直流500V以下 交流250V以下

 明治30年の低圧の区分 : 直流600V以下 交流300V以下

 昭和24年の低圧の区分 : 直流750V以下 交流300V以下

 昭和40年の低圧の区分 : 直流750V以下 交流600V以下


 電気設備技術基準によって、昭和40年に高圧が交流600[V]を越えるに変更になりました。現在も一般的ではないですが、400V配電を考えて変更されたようです。